透過電子顕微鏡(TEM)は、サンプルを透過してきた電子線を電磁レンズで拡大することで観察します。走査透過電子顕微鏡(STEM)は、細く絞った電子ビームをスキャンしながらサンプルを透過し散乱された電子線を検出して観察します。TEMは、
電子線の回折コントラストが優位なので結晶化の有無や結晶欠陥を観察することができます。一方STEMは、 原子番号に依存
するコントラストが得られるため組成の違いを観察することができます。同じ顕微鏡でTEM・STEMを切り替えて観察することができます。
分析オプションとして、エネルギー分散型X線分析(EDX)や電子エネルギー損失分光(EELS)と組み合わせることにより、
組成分析(点分析、ライン分析、マッピング)をおこなえます。

TEMとSTEMの違い
・サンプル内部の形状観察:半導体デバイスの断面、故障解析、ナノサイズの微粒子、繊維 (カーボンナノチューブ等)
・結晶性評価:結晶構造の同定や結晶欠陥 (転位や積層欠陥) の観察、格子像の観察をすることができるため
エピタキシャル膜の評価
・STEMではEDSやEELSと元素分析により原子レベルの元素マッピング・電子状態の違いを視覚化により析出物の同定
・半導体、金属材料、セラミックスから高分子、生物試料まで広く利用されている
<特徴>
1. サブナノメートルの分解能があり原子レベルの観察が可能
2. TEMでは結晶の影響 (方位や厚み、欠陥) があり干渉縞で対象物見にくい場合があるが、STEMでは干渉縞の影響が少ない
3. EDXやEELSと組み合わせてnmオーダーの組成分析 (ポイント、ライン、マッピング) が可能
<欠点>
1. 断面観察用のサンプル作製が難しい。電子線を透過させるためサンプルの厚みを数百nmから数nmにする必要がある。
2. 一般に薄片化サンプル作製には集束イオンビーム (FIB) を用いて作製するため費用と時間が必要
3. ミリ単位の広い範囲での観察には不向き
4. 高分子や生物試料では電子線のダメージが大きい