測定に用いるX線ビーム径(直径)10~100 μm、深さ方向は試料表面から数 nmまでの領域について原子からの光電子を
検出し、元素組成比を評価する方法です。測定したスペクトルのエネルギーシフト量から近接原子との結合状態評価が可能
です。また検出深さは、試料と検出器との成す角に依存するため、検出深さをより浅くした測定も可能です(角度分解測定)。

・薄膜(薄いものではnmオーダーでも可)の組成比評価
・成膜試料の深さ方向プロファイル
・表面改質層の状態確認測定
・金属酸化膜の酸化度調査
・DLC膜の結合状態評価(sp3/(sp2+sp3))
・非破壊での表面(数 nm)の状態評価(角度分解測定)
<特徴>
1. 再現性良く試料表面の元素組成比を特定
2. 帯電中和機構の精度が良く、絶縁性の高い試料でも容易に測定可能
3. 前処理が不要なため、試料間比較を行う際に影響を受ける要因が少ない
4. 元素組成比が求めるだけでなく、近接原子との結合を解析可能
5. Arモノマーイオンによるスパッタリングと測定を交互に行う事で深さ方向プロファイルがわかる
<欠点>
1. 軽元素の検出感度が低く他元素との干渉がある
・Liは数 atom%必要
・HとHeは検出出来ない
2. X線の照射で分解・ダメージが入る試料は測定困難
3. Handbookに載っていない結合状態は評価が難しい
4. Arモノマースパッタリングで選択スパッタが発生する試料は深さ方向分析が出来ない(例:TiO2、ZrO2など)
5. 磁性材料はスペクトル形状が測定中に変わる可能性があるため、注意が必要